きのこメモ 忍者ブログ
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 日本新菌類図鑑(Ⅱ.p142)を見ると、ヒラフスベはかつてホコリタケ科の菌と考えられていたことが書かれている。そこを読む前に、分生胞子の塊を顕微鏡で覗いたときに、胞子のなかに結合菌糸が見えて、それはあたかも弾糸みたいで・・・弾糸と同じ働きをしているんじゃないかと思った。073.jpg
こうやって、アイカワタケとヒラフスベが合体したようなのを見ると、この菌は特異な菌なのかもしれない。
日本新菌類図鑑に『Corner(1984) はアイカワタケ属Laetiporusが広義のサルノコシカケ科Polyporaceae s. lat. の中で、アイカワタケ科なるLaetiporaceaeなる一科を設けても良いほどの菌であると記しているが、一理ある。』と書かれていて、硬いきのこのことはよく知らない(殆ど知らない_ _;)私でも、変わっていると思う。

そうそう、胞子紋は取れないかもと思っていたのだけど
ちゃんと取れた。下は担子胞子と担子器。
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『ヨーロッパにもアイカワタケの変形で厚膜胞子をつくるものがあり,Ceriomyces aurantiacus (pat.) Sacc. の学名を用いる人があるというが、比較的珍しい菌であり,』
と記載されているものと、栗の木に発生していたアイカワタケは同じじゃないだろうか。
単なる異常形だとしても、この菌(合体形)は結構貴重じゃないんだろうか。
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小樽のT田さんから、栗の木に出ていたというアイカワタケを送っていただいた(T田さん、ありがとうございます)。
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 これまで、広葉樹に出たものでは7・8年前にクルミの木に出ていたものを見かけたことがあるだけで、裏面は鮮黄色ではなくサーモン色をしていてほぼマスタケに似ているものだった。酸味もなかったので今でもあれはマスタケだったのだろうと思う。アイカワタケって裏面がこんなに鮮黄色なんだ…と、初めて知ることができた。
 
アイカワタケとヒラフスベが同種であることは以前から聞いていた。ヒラフスベは昨年の鳥取大山で採集されたものを見たことがあるだけで、やがて胞子塊になるらしいと聞いただけでその生態は全く知らない。
 
 
 ところが、きょうそのアイカワタケを見て、基部のところが「あれっ?」。半分に割ると尚更に「あれれっ?」。基部はいたみかけているのではなく、胞子塊になりかけているのだ。上の写真の一部を縮小せずトリミングしてみた。
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その茶色くなってポロポロと崩れた一部を検鏡してみると
紛れも無く分生胞子で
菌糸の先端部分が変化して胞子が出来ている。
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これって、ヒラフスベからアイカワタケが出ているんじゃないの?
アイカワタケって、基部はいつもヒラフスベなの?

かたや子実体の黄色い裏面は管孔で↓
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やっと担子器が出来てきたようで、担子胞子はいくつかやっと見られるというような状態。
ちゃんと担子器はあるので、もう少し成熟したら担子胞子もいっぱい出来るんだと思う。
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下は同梱されていたもので
こちらは幼菌で担子胞子は全く出来ていない状態。
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アイカワタケってヘン(分生胞子もあって)なきのこだけど、裏面がとっても綺麗だね。
 2年前、野幌森林公園で見つけたチャワンタケで、イボのような網目のような模様のある胞子を見て、クリイロチャワンタケだろうか・・・と、分からないチャワンタケを「ひとりごと」に載せたことがあった↓。
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先日の研修会で、N井さんから見せていただいた写真(子実体と検鏡写真)をみて
「あ・・・これ」と、上の写真の形態に酷似した写真に目が留まった。
ニセクリイロチャワンタケPeziza badioconfusa
Discomycetes etc.↓に詳しい記載が掲載されている。
http://chawantake.cool.ne.jp/data/Peziza_badioconfusa.html
私のは子嚢の長さが約250μmなので、その点が合わないけれど
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上のチャワンタケはニセクリイロチャワンタケじゃないのかな・・・という気がしてきた。
今年6月に同じ倒木に発生していたのを採集し、フリーズドライにしたので
子嚢の長さは再度確認出来ると思う。

<7月16日追記>
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子嚢サイズは265~315μm
やはり、ちゃんとバラして見なくちゃいけないと反省。
油球のあることもわかった。
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上のきのこは
ニセクリイロチャワンタケとして良いのだと思う。
久しぶりに(今年初)牧○南地区へ行ってきた。
ブルーベリーがそろそろ食べられるんじゃないか…と思ったのだけど、全然食べられる状態じゃなかった。
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じゃあキイチゴは?と見ると、キイチゴもまだまだ。
しかし、このキイチゴ見てギョッ!…毛虫がいっぱい…ううっ(T T)
しかも…行った時期が悪かったのか…それだけじゃなかった。
 
一昨日、たっぷり雨が降ったので少しはきのこが出ているかもと期待していた。
果樹畑を出て、シラカバやカラマツの混生する林内を歩いた。
きのこはポツポツといくつか見られたものの、「殆ど無い」状態。
それと散策路を歩いていてフッと足を止め、あたりを見回すと必ずと言っていいくらい、毛虫が目に付く。少し先でボトッと音がしたので見ると蕗の葉っぱの上に毛虫が落ちてきた音。上を見るのが怖くて、早々に退散した。牧○○地区、今年はなんか異常発生しているんじゃないかな。ブルーベリーが色づく頃になっても、しばらくは行けない感じ。 
きのう、北海道きのこの会の夏の研修会だった。昼食を食べているときのこと。
封筒を渡され、中を見ると何やらカラカラに乾いた標本が出てきた。
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「チャワンタケですね?」と、私が言うと
「いや、表面はキクラゲのようにブヨブヨしていて、ヒダがあるんです。
○さんがルーペで見ると、ヒダがあると言ってました。」
「え???」
その人は○氏と一緒に採集したらしく、とても変わったきのこで、○氏は何のきのこか分からないので、白山に見てもらうよう頼まれ持ってきた…と言うのだ。
封筒の裏を見ると、日付とどこで採集されたかの住所が書いてあるだけで生の状態がどんなであるのか一切記されていない。
「生のときの写真もなく、これだけを渡され顕微鏡で見てと言われても、何のきのこかわかりませんよぉ。」
キクラゲのようでヒダがあるだなんて、私には尚更思いも及ばない。
「分かりませんか~?」
「わかりません」
研修会が始まり、テーブルごとの班に別れ、自分が担当するテーブルで観察の仕方や顕微鏡の見方を説明し、片づけを始めたとき、その封筒がテーブルの上にあった。人の標本を捨てるに捨てられず、仕方なく持ち帰った。
 ホントにヒダがあるの?とルーペで覗くとヒダなどなかった。顕微鏡で覗くと紛れもなく子嚢菌。しかもメルツァーでしっかり染まるではないか。やっぱチャワンタケだろうが~!!
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たぶん、○氏は裏にシワがあると言ったのを、ヒダと聞き間違えたのかもしれない。しかしだ…○氏は立派な顕微鏡を持ちながら、なんで自分で見ないのだ?、、、私だってヒマじゃないんだぞ!
持ってきたその人が知りたいと思ったきのこなのか、○氏が知りたいと思ったきのこなのか、よくわからないけど…カラカラに乾いたきのこを出し、採集日採集地以外の情報は何一つなく、「見てくれ」はやめてほしい。
この時期、羊蹄方面へ出かけると、何となく気になるきのこがある。
気にはなるのだけど、この手のきのこはさっぱりわからない。

時折、マツのさわやかな香りがして、苦味は全くない。
最初マツバハリタケではないのか・・・なんて思った。
でも、マツバハリタケを知る人から即座に「違う」と言われた。
かさ肉は淡黄白色で裏面は最初類白色から次第に灰褐色に変わっていく。
下のかさ表面の写真はひび割れて鱗片があるようにも見えるけど
鱗片は見られないので、たぶんSarcodonとも違うように思う。
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スイスの菌類図鑑を見るとHydnellum spongiosipesというのに似ている。
スイスの菌類図鑑にこの科のきのこのシスチジアはすべて「Cystidia not seen」と記載されている。
日本新菌類図鑑を見ても、シスチジアのことは全く書かれていないので
たぶん、ハリの先端に見えるものはシスチジアといわず、Marginal cellsとかの類なんだろうかと
思ったら、池田図鑑にはこの科の種にシスチジアとして記載がある。
でも、下のはシスチジアと言わないんだろうな・・・。
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下は組織を見たときに見えた胞子群
「そっかー、胞子がこんなにイボイボだから、イボタケ科なんだぁ」と
一人で納得していた。
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胞子サイズは20個くらいしか計ってないので、実際はもう少し幅がありそう。
何なのか、さっぱりわからんきのこ。
古いシイタケのホダ木から、今年もコゲチャベニヒダタケが出ていた。
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下の写真は3年前に撮っていて、上の写真より小さく1~2cmくらいのもの。
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たぶん、コゲチャベニヒダタケだろうと思いながら確かではなかったので
調べてみることにした。
下の写真は、胞子と担子器。
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したの写真は縁シスチジアと側シスチジア。
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下はかさシスチジア
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柄シスチジアは見ていないけれど、円柱状のかさシスチジアはこのきのこの特徴とも言えるんじゃないかと思う。コゲチャベニヒダタケの記載(http://www7a.biglobe.ne.jp/~har-takah/)とおおむね一致するのではないだろうか。
これまで、かさ表面がどうも違うように見えて確信は持てなかったけど、ちょこっとスッキリ。
 ヒダの縁の切片をつくり、組織をバラしてみると
縁シスチジアがあった。
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前回掲載したEntolomaは
Entoloma  testaceumで良いのだろうと思う。

このところ、いい状態で雨が降っている。
先日、ルスツにあるアカエゾマツ林でEntolomaが群生しているのに出会った。
枝払いされた落枝が集められたような場所(たぶん200mくらいは続いている)
に、下の写真の状態で発生しているのがいたるところで見られた。
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下は若い状態
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柄は非常にもろくそっと抜き取るようにしなければ、すぐにつぶれてしまう
このきのこも結局は分からず仕舞いだろうか
そんなことを思いながら2~30本採取した。
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下は胞子とかさ表皮
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シスチジアはない
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最初、Entoloma pallescensかと思われた。
しかし、柄の色からEntoloma testaceumというのによく似ている。
E. testaceumには縁シスチジアがあり
何度か切片を作ってみたけれど、それらしいものが見当たらない。
いや・・・見つけられないだけかもしれない。

ブツ撮りした後、子実体は胞子紋を取る小片以外
車の中は暑くなり、乾燥標本になるかなと車の中に入れておいた。
でも時々曇ったりし、どうかな・・・と心配。そしてその翌日は雨。
案の定腐敗し、胞子紋を取った後の小片は虫食いが酷くなり捨ててしまった。
やっぱり、乾燥標本は乾燥機(私は布団乾燥機を使っている)
で真面目に乾燥させなくちゃイカンなぁ・・・。
また、もう一度採集しに行ってこなくちゃ・・・
そんなわけで
E. pallescensかE. testaceumか、或はそのあたりのきのこか
詰められずにいる。

下のきのこは、たぶんMycenaだろうと思う。
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最初、何科だろうかと分からなかった。
胞子紋は白。Collybiaかもと思ったけれど胞子はアミロイド。
サイズは8.6-14.5×5.8-7.9μm(n=50)
Image4.jpg
ヒダを10倍ルーペで覗くと、なにやら表面にプチプチと見え
側シスチジアがあることが推測できた。
顕微鏡で覗いてみると、大きなシスチジアが見えた。
Image3.jpg
縁シスチジアはサイズが半分くらいで同形。
(6/8訂正・・・組織をバラしてみると、縁には色んな形のシスチジアが存在していて
同形ではなかった↓)
en1.jpg

かさ表皮の菌糸は匍匐性。
da9c4eda.jpeg
おそらく・・・Mycenaだろう・・・と
それ以上は分からない。

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